月刊・中谷彰宏「月ナカ生活」

2024年08月31日
【月ナカ/別ナカ160復習編】今だからこそ味わえる、和歌と俳句。中谷先生の第1回「国語」講座。

■月刊・中谷彰宏160「和歌と俳句」――書かれていないことを、味わおう。


★キャッチ

今だからこそ味わえる、和歌と俳句。

中谷先生の第1回「国語」講座。


★コピー

和歌と俳句。知っているものは、いくつもあるかと思います。

でも、それを味わえているかということになると、どうでしょうか。

春すぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山

有名な持統天皇の歌です。夏到来の驚きを歌っているとされていますが、

中谷さんは「神様の山に、洗濯物を干していいの?」と問いかけます。

「持統天皇は天智天皇の娘で天武天皇の奥さん。

波乱万丈の人生を送っていて、根性がある。

新古今集は、幻想や妄想をベースにしている。この歌も――」

から始まる中谷さんの謎解きには、とても驚かされました。

なれ親しんだ和歌や俳句の背景に広がる世界と奥行き。

和歌と俳句を味わう教養、中谷さんから教わりました。


★こんな方にお奨めです♪
□和歌を味わえるようになりたい方。
□王朝貴族の恋愛を理解したい方。
□俳句を味わえるようになりたい方。


★月ナカ160――7つの学び

○「日本の芸術の本質は、和歌。西洋は、詩。」(中谷彰宏)

「日本の芸術の本質は、和歌。西洋は、詩。

中国からの漢詩を元にして、日本に和歌が生まれた。

殿上人と地下人の違いは、和歌がわかるかどうか。」と中谷さん。

春すぎて 夏来にけらし白妙の 衣ほすてふ天の香具山

田子の浦ゆ うち出でてみれば真白にそ 富士の高嶺に雪は降りける

人生経験を積んだ今だからこそ、和歌の味わいが深まりますね。


○「万葉集は、ますらおぶり、古今集は、たおやめぶり。」(中谷彰宏)

「万葉集、古今集、新古今和歌集――これが三大和歌集。

万葉集は奈良時代。『ますらおぶり』が歌われた。男らしさがベース。

平安時代の古今集は『たおやめぶり』。女らしさ。」と中谷さん。

「ますらおぶり」は、素朴さ、ひねり無用のストレートさ、

「たおやめぶり」は、繊細さと優美さが身上です。

時代によって、気分がずいぶん違うのですね。

和歌を味わうためには、時代背景を勉強しましょう。


○「愛とは、得た充実感。恋とは、満たされぬ想い。」(中谷彰宏)

「万葉集は『愛』を、古今集は『恋』を歌った。

愛とは、普遍的な感情。得た充足感。片思いでもいい。

恋は満たされていない想い。切ない片思い。」と中谷さん。

なるほど、こういう分類は、はじめて聞きました。

たしかに、人類愛という言葉はあっても、人類恋はありません。

親子愛はあっても、親子恋もありませんね。

愛と恋の違いを踏まえることが、和歌を味わう第一歩なのですね。


○「新古今和歌集は、星飛雄馬の消える魔球。」(中谷彰宏)

「新古今和歌集は、幻想、妄想の和歌。『映え』重視。

『巨人の星』でたとえるなら、万葉集は160キロの剛速球。

古今集は、大リーグボール1号。速いけど、軽い変化球。

見渡せば 花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕暮

藤原定家の歌は、まさに幻想、妄想の世界。

『なかりけり』というように、まさに、消える魔球。」

絶妙なたとえがあると、鑑賞力がグンと上がりますね。


○「紀貫之は叩き上げ。気が使える人物。」(中谷彰宏)

「古今集」は、醍醐天皇の命によって編まれた勅撰和歌集。

古今集に始まり、後撰集、拾遺集、後拾遺集、金葉集、詞花集

――と534年の間に21もの勅撰集が編纂されました。

古今集の選者といえば紀貫之。下級貴族でした。

「自分の歌を採用して欲しいと、いろんな貴族からクレームが来る。

叩き上げの紀貫之は、気が使える。『パート2で入れますから』

と対応するうちに、パート21まで行ってしまった。」と中谷さん。

いつの時代も、宮仕えはたいへんなものですね。


○「恋愛の25パターンを、歌に詠んだ。」(中谷彰宏)

王朝貴族の「仕事」といえば恋愛。これには25段階あったそうです。

1番め、噂を聞いて好きになる。2番め、垣間見て盛り上がる。

3番め、後ろ姿に募る恋心。4、何も手が付かない。忘れよう。

5、夢で逢いたい。6、恋人がいるらしい。

7、そりゃそうだよ。いないほうがおかしい。ますます高ぶる。

8、どうしたら思いを知ってもらえるだろうか。9、会えた!

――と延々25まで続きます。

これだけ小刻みにすれば、心情に敏感にならざるを得ませんね。


○「子規の『柿食えば――』は、漱石へのアンサリングソング。」(中谷彰宏)

正岡子規と夏目漱石は、東大予備門の同級生。親友同士でした。

鐘つけば銀杏ちるなり建長寺

この漱石の句について、子規は思うところがあったようです。

「「鐘つけば」は説明。因果関係が明確なのは、イケていない。

『柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺』は、漱石へのアンサリングソング。」

ちなみに、ここでいう「鐘」とは東大寺の鐘なのだそうです。

奈良の宿で給仕してくれた16歳の仲居さんを想っての一句とのこと。

「柿食えば」の句は、正岡子規の恋の歌だったのですね。

**

「月ナカ/別ナカ」コーディネーター・曽我清美






■別冊・中谷彰宏160「この世界の片隅に」――絶望の中の幸せに気づこう。


★キャッチ

「普通」とは「居場所」のある日常。

映画「この世界の片隅に」鑑賞法。


★コピー

「この話はね、ちょっとたいへんなんですよ。やられましたねえ。」

中谷さんがご紹介するのは、映画「この世界の片隅に」。

わたしも前もって観ましたが、とても感動しました。

でも、その「感動」も、中谷さんのお話を伺ってしまうと、

ひじょうに浅いものだったのだと思い知らされました。

「気に入った映画は、原作を読む。そして何回も観る。」と中谷さん。

わたしも2回めの鑑賞を前に、まずは、原作を読んでみました。

あの場面は、こういうことだったのか――そんな発見の連続。

映画「この世界の片隅に」の味わい方、中谷さんから教わりました。


★こんな方にお奨めです♪
□映画「この世界の片隅に」をご覧になった方。
□映画「この世界の片隅に」を観たいと思った方。
□絶望の中の純愛を味わいたい方。


★別ナカ160――7つの学び

○「冒頭のシーンを、じっくり観よう。」(中谷彰宏)

中谷さんの映画指南で再三言われるのが、冒頭のシーンの大切さ。

「The NET 網に囚われた男」でも、「テキサスの五人の仲間」でも、

タイトルバックや冒頭のシーンに、物語を味わう鍵がありました。

「冒頭のシーンを、すごく観る。ここで、じっくり観るか見極める。」

飲み物の支度をしたりと、冒頭は流し見することが多かったので反省…

始まりから集中することが、映画に対する礼儀なのですね。


○「伏線を、味わおう。」(中谷彰宏)

10銭のチョコレートか、それとも5銭のキャラメルか。

迷う主人公のすず。このシーンも大事な伏線でした。

広島の街。産業奨励館の堂々たる建築。このシーンも伏線。

「片淵監督は、めちゃくちゃ調べている人。

いろいろなところに、伏線を仕込んでいる。」と中谷さん。

中谷さんの映画鑑賞法の一つに「何度も観る」がありますが、

こんな「伏線」を味わうためなのですね。


○「悪をつくらないのが、やさしさ。」(中谷彰宏)

誹謗中傷、バッシング、批判と炎上……

「悪」をつくることよって、自分の正しさを確認する。

そんな人が増えてきているような気がします。

「悪をつくらないのが、やさしさ。」と中谷さん。

自分を誘拐した「人さらい」にすら情けをかける少年。

彼の「やさしさ」が、この物語の基調になっています。

「悪」は、その人の心のありかた次第なのですね。


○「初夜の挨拶は、きまり文句。説明はない。」(中谷彰宏)

北條家に嫁いだすず。周作さんとの祝言を終えて――

「傘持ってきたかの?」「はい」

「さしてもええかの?」「はい」

このやりとりは、初夜の決り文句なのだそうです。

「本当に持ってきた傘で吊るし柿をとって、二人で食べる。

説明はない。こういうシーンに、ホッとする。」と中谷さん。

「説明」がないほうが、情感は深まるのですね。


○「明るいシーンが、逆に切なさを出す。」(中谷彰宏)

「戦争をあつかった映画なのに、明るいシーンが多い。

だから、逆に、切なさがにじみ出る。」と中谷さん。

「うちは、よう、ぼうっとした子じゃあ言われとって」と主人公のすず。

切符売り切れで、電車に乗れずに舞い戻るすず。

貴重な砂糖を誤って、水瓶に落としてうろたえるすず。

呉港をスケッチしていたら、憲兵から取り調べを受けるすず。

彼女をめぐるユーモアが「戦争」の本質をあぶり出しています。


○「結婚してから、恋愛が始まる。」(中谷彰宏)

「うちは大人になるらしい」18歳で請われるまま、お見合いしたすず。

「困ったね〜。嫌なら断わりゃええ言われても、

嫌かどうかも分からん人じゃったね〜」と、よくわからないまま結婚。

最初は、なれない土地で、ハゲができるほどの気苦労を重ねたすず。

でも、「しみじみニヤニヤしとるんじゃ!」と幸せを実感するように。

「結婚してから、恋愛が始まる。」と中谷さん。

周作「すずさん、あんたを選んだんは、たぶんわしにとって最良の選択じゃ」

すず「周作さん、ありがとう。この世界の片隅に、うちを見つけてくれて。

ほんでも離れんで、ずっとそばにおって下さい」

結婚は、ゴールインではなく、スタートラインにつくことだったのですね。


○「『普通』とは『居場所』のある日常。」(中谷彰宏)

水原「お前だけは、最後までこの世界で普通で、まともでおってくれ」

リン「誰でも、この世界でそうそう居場所はのうなりゃせんのよ」

径子「すずさんの居場所はここでもええし、どこでもええ」

婚家の中に「居場所」を見つけられない嫁。

戦争で焼け出されて「居場所」を失った被災地の人びと。

戦争が終わった、ある夕暮れ。街灯が灯り、家々からは炊煙が上がる。

空には星が瞬く。「普通」とは「居場所」のある日常だったのですね。

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「月ナカ/別ナカ」コーディネーター・曽我清美


★月ナカ/別ナカ2枚で2,000円(単品は1,700円) おトクな回数券は▼
http://www.selfstudy.sakura.ne.jp/nakatani/special/kaisuken.html

★教材一覧
→ http://www.selfstudy.sakura.ne.jp/nakatani/itemlist/


◆月ナカだより 8月30日(金)

正直なところ、今まで和歌とか俳句のよさがわかりませんでした。

文字だけ読んで、あーそうなんだーくらいの反応でした笑

でも、今回の講座を受けて、味わい方がすこしわかったように思いました。

中谷先生は最高の国語の先生ですね!

しごとの自習室 岩部 雅美 (*^_^*) 

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posted by まちゃ at 10:00 | 日記